このたびは、Gallery KIMにお越しいただき、誠にありがとうございます。

　ここは、ペン画による芸術家の肖像画を中心に、私がこれまでに制作してきた絵画作品をご紹介するウェブギャラリーです。

　ペン画というのは、基本的には線や点の集積でイメージを表現するという、シンプルな反面、制約の多い絵画技法です。いわゆる「コミック」を除けば、ペン画を専門に制作している作家は決して多くないと思われますが、その数少ない作家の方々と同様、私も「線」の魅力に惹かれ、「線」にこだわり続けながら、ペンとインクでどこまで表現できるか、日々模索を重ねているという状況です。
　ペンにも様々な種類がありますが、私は「丸ペン」という、約0.1ミリ幅の線が引ける付けペンとロットリングを使用しています。

　ペンで肖像を描くことになったきっかけは、ある文化会館から催物案内の表紙イラストの依頼を受けたことです。施設の性格上、作曲家の肖像がその多くを占めることになりました。
　作曲家以外では文学者や画家の肖像が多いのですが、ジャンルにかかわらず、これらの肖像を描くにあたって私が意図したのは、自分がその芸術家やその作品世界に対して抱いているイメージにできる限り明確な形を与えるということでした。
　長く肖像を描いてきて思うのは、私にとって芸術家たちの肖像を描くということは、彼らへのオマージュであるとともに、彼らが私に与えてくれた多くのものを再確認するプロセスでもあるのではないか、ということです。
　今後も肖像の制作は続けていきたいと思っていますが、ただ、最近、思い入れのある人物はおおむね描いてしまった、という気がしています。制作の方向性を模索するなかで、肖像にこだわらず様々なモチーフに取り組んでいきたいと考えています。

　ペン画と並んでこのギャラリーのもうひとつの柱が銅版画です。同じ線の表現でありながら、その線の質に違いがあり、また、種々の技法を用いれば多様な表現が可能で、そこにペン画にはない魅力を感じています。

　ペン画と銅版画以外では油彩、アクリル、水彩などの作品を「展示」または「収蔵」しています。まだまだ未熟ですが、どうかごゆっくりご鑑賞ください。ご意見やご感想などもお待ちしています。

2004年12月＜GalleryKIM 主人兼専属作家　木村昭司＞